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1.152022
傷病手当金の支給期間の通算など
2022年1月1日から、健康保険で制度の変更がありました。
本日は、その点についての考察をいたします。
傷病手当金を受給できる期間が「通算して」1年6か月になりました
傷病手当金は、仕事が原因ではないケガや病気により働けない場合に、働けなかった日についての賃金の3分の2に相当する額が、最長で1年6月間支給される制度です。
働けないことが要件ですので、最初の支給日から1年6か月(支給期間と言います)の途中でもあっても、働けるようになり職場に復帰すると、傷病手当金は支給されなくなります。
そして、支給期間中に傷病手当金が支給されなかった日があっても、支給期間が終了する1年6か月後の日は変わりませんでした。
今回の変更はこの点についてのもので、支給期間中に職場に復帰して傷病手当金が支給されない日がある場合は、その日数分の期間を延長し、「通算して」1年6か月の期間まで傷病手当金が支給されることになりました。
傷病手当金の支給開始日が2022年7月2日以降である場合、今回の変更の適用があります
この変更の対象となるのは、2021年12月31日の時点で、傷病手当金の支給開始日から起算して1年6か月を経過していない方です。
したがって、2020年7月2日以降に傷病手当金の支給が開始された方は、一時的に職場復帰をしたものの同一の傷病で再び休職した場合には、職場復帰をしたために傷病手当金の支給がされなかった日があれば、その日数分、傷病手当金の支給期間が延長されます。
職場復帰と治療の両立が図りやすくなると期待されます
これまでは、職場復帰をしても万一再び休職となってしまった場合には支給期間は変わらないため、復帰に躊躇したり、復帰後に不調が再発しても無理をして出勤を続けてしまい、症状が悪化するという課題が指摘されてきました。
今回の制度変更により、今後は職場へ復帰した期間の分は支給期間が延長されますので、試し出勤や再発した際の休暇の再取得などの活用により、職場復帰と治療の両立が図りやすくなると期待されます。
任意継続被保険者の任意脱退が可能になりました
また、同じく2022年1月1日からの制度変更として、健康保険の任意継続被保険者が、自らの意思で任意継続被保険者でなくなること(任意脱退)が可能となりました。
もっともこれまでも、任意継続被保険者が保険料を納期限までに納めなかった場合は、その月に被保険者の地位を失うとされていましたので、今回の変更は特に、保険料を前納していた場合でも任意脱退は可能で、前納した保険料のうち未経過分は還付されることとなった点に意義があると考えられます。